ダンスの表現力がないんだけど、表現力はどうやったら鍛えられるのかな?
こんな疑問にお答えします。
記事を書く僕のダンス歴は6年ほど。
これまでにはインストラクターやコンテストでの受賞歴があります。
今回はそんな僕が、表現についてのこだわりをお話するので、ぜひ参考にしてください。
ダンスの表現力とは何か解説する
結論、ダンスの表現力とはイメージを形にする力のことです。
例えば、曲を聴いて悲しいイメージをしたのであれば、悲しさを体で表現することですね。
- イメージ:音楽を聴いてどう感じたか
- 形にする:踊りとしてイメージを現すこと
ちなみに、よく「表情を作りなさい」と言っている先生や保護者の方を見かけますが、表情を作れることだけが表現力ではないと僕は思います。
僕なりの表現力についてお話ししていくので、まず表現力とは何かを覚えて、正しい表現のあり方を身につけていきましょう。
なんのために踊っていますか?
最初に確認ですが、あなたは何のために踊っているでしょうか?
表現力に悩んでいるパターンで多いのが、スクールやレッスンで先生に言われたりコンテストで賞を取れなかったりするという理由です。
ちょっときついことを言うと、ダンスは誰かにやらされて心からやりたくないものをやっていても絶対に成長しません。
表現力はすでに持っている
実は表現力とは”すでにあなた自身が持っているもの”、または”そのときの心情”が現れるものです。
もし、自分がなぜダンスをやっているのかわからないのに表現力について悩んでいるなら、表現力について知ることよりも先にあなたが”何のために踊っているのか”知ることの方が大切です。
表現とはイメージを形にすること
繰り返しですが、表現力とはイメージを形にする力のことで、ただ表情を作ればいいわけではありません。
表情を作るということは、それは表面的に作っているテクニックになるので「本来の表現力ではない」と僕は思っています。
表情を作れないと悩んでいる人は、無理に表情を作るのをやめて”ありのまま”に踊りましょう。
表現は人それぞれ違って良い
本来、表現力は人によって違います。
なぜなら、人は誰しも自分なりのイメージを持つものなので完全に統一することは不可能だからです。
質問です
「大きな家を想像してください」と言われたら、あなたはどんな家を想像しますか?
おそらくこの質問に対してまったく同じ答えが出てくることはまずないでしょう。
10人に聞いたら10コの”大きい家”が出来上がります。
- 家の屋根の色は?
- 窓は何個?
- 煙突はある?
まったく同じ家は絶対にできませんよね。
このように、人は同じものをイメージしたとしても完成図はまったく異なるので、自分がイメージできないものを表現するのは、そもそも無理な話です。
表現の正解は自分で決めよう
表情が作れない、表現力がないと悩んでいる方に伝えますが、表現は自分が踊りたいように踊れていればそれが正解です。
楽しく踊ることが好きな人は悲しい曲で踊るのは苦手ですが、楽しい曲で輝きます。
不思議な表現力がある人はそういった場面で輝くはずです。
評価されようとして表現力で悩むことには意味がないので、自分が踊っていて楽しいと思えるやり方で表現力を伸ばしていきましょう。
楽しい表現が好き、悲しい表現が好き、でも表現が人と違う。
それが正解です。
- 楽しい表現をすることが好きなのに楽しく表現できない
- もっと表現の幅を広げたい
- もっと表現について深めたい
悩むのはそこからにしましょう。
表現するために必要なこと
さて、表現力とは何かお話ししたところで、ダンスで表現するために必要はなにかお話ししていこうと思います。
細かいテクニックを言い出すとキリがないので、ここでは大きく3つのポイントをおさえていただきます。
詳しく解説します。
①:振りが完璧に踊れていること
まず、振り付けに追われているようでは表現にこだわることは難しいでしょう。
理由は、音楽に集中できないからです。
ダンスにおける表現力とは音楽に集中していることが前提となります。
表現にこだわれない人はそもそも音楽に集中できていない可能性があるので、まず無意識でも振り付けが完璧に踊れるよう練習しましょう。
②:音楽をよく聴くこと
先ほど話した通り、ダンスの表現において音楽に入れていることは最低条件であって、むしろ音楽に入れている人は下手にテクニックを覚える必要がないと思います。
音楽をよく聴くと”その音楽をどう表現したいか”イメージが沸くはずです。
イメージに合わせて緩急をつける、動きの質感を変えてみる、目線を変えてみるなど、1つの音楽でもいろんな表現ができると思います。
振り付けが完璧に踊れるようになったら音楽をよく聴いて、そのときの感情のまま踊ってみると良いかもしれません。
③:自分のイメージをもつこと
“大きな家”を想像してもらったときに話しましたが、イメージというのは絶対に自分にしかわからないものです。
音楽をよく聴いたとしても、それを他の人と合わせるのはかなり難しいと思います。
“大きな家”については同じ写真を見せてしまえばある程度の共通イメージができますが、ダンスにおいて表現したいことってかなり”あいまい”ですよね。
楽しい、悲しい、寂しい、怒る、美しい、かわいい、きれい、妖艶、セクシー etc…どれも”あいまい”
こうした”あいまいな”イメージを完全に統一するのはほぼ不可能です。
人によって楽しい思い出や悲しい思い出も、かわいいと思うモノも違うから当然ですね。
ダンスにおいて表現を完全に統一するのはほぼ不可能なので、だからこそ自分のイメージを大切にしましょう。
表現の仕方は人間味で決まる
持論ですが、表現の仕方はその人の過去の経験や性格などの”人間味”で決まります。
いつもテキトーでだらしない人と、細かいことまで気をつかう完璧主義な人に同じ動きをさせたとしても、まったく違う動きに見えると思います。
このように、その人の経験や性格といった”人間味”はそのままダンスに現れます。
その人にあった踊り方があるはずなので、苦手な表現よりもむしろ”自分の得意な表現”を伸ばしていきましょう。
ダンスの表現力を上げる方法とコツ
以下の3つです。
- 何よりも練習
- テクニックを身に付ける
- 想像力をふくらませる
順に見ていきましょう。
①:何よりも練習
当然ですがどんな表現をイメージできたとしても、体が使えなければ形にして踊るのは難しいと思います。
突然上手くなることはないので、これに関しては”とにかく練習”するしかありません。
いろんな練習をすると表現できる動きの幅も広がるので、地道に武器を増やしていきましょう。
②:テクニックを身に付ける
練習はどこまでやっても終わりがないので、踊りのなかに”魅せるテクニック”も入れてみると良いですね。
先生や保護者の方がよくいう「表現力」はこれに当たります。
今回は2つのテクニックを紹介します。
- 目線
- 音の取り方
踊りがめちゃくちゃかっこいい人も、最初はこういったテクニックの勉強をして今は無意識レベルの感覚だと思います。
個人的にテクニックを意識的に魅せられるのはあまり好きじゃないのですが、無意識レベルでやっていることは別の話。
まずは意識的に使ってみて、無意識レベルまで磨いていきましょう。
目線
けっこう重要です。
例えば、”正面を見る”という動作についても目線が変われば印象は変わりますよね。
- アゴを上げて上から目線で見る→かっこいい、堂々としてる…
- アゴを引いて下から目線でにらむように見る→気合が入ってる、怒ってる…
- 顔も目線も下向いちゃってる→自信なさそう
すごく細かいところまでいうと、相手のおでこを見るか眉間の辺りを見るか、口元を見るかでも与える印象は全然違います。
どういう印象を与えたいか考えて、”目線”を意識すると表現力が上がるのでやってみてください。
音の取り方と動きにこだわる
繰り返しですが、ダンスは音楽あってのものなので、最終的には音楽のイメージを表現することが重要です。
- あえて音よりもちょっと遅れて動く(アフタービート)→気持ちいいところで使う
- 足音を消すように動く→浮遊感、足さばきが軽く見える
- 足音をめちゃくちゃ鳴らす→パワーある、怒ってる感じ
- 16ビートで音を取る→楽しそう、弾んで見える
- ヒットを使う→パンッと弾けるような音の表現
音楽を聴いたイメージは人それぞれ違うので「ここはこのイメージ」という感覚に動きを合わせることを大事にしましょう。
正解はありません。
③:想像力をふくらませる
何度か言っていますがイメージは人それぞれで違うので、自分の想像力をどんどん膨らませていきましょう。
反対に、想像できないことは表現もできないと思います。
あいまいな感覚でもふわっとしたイメージでも何でもいいので、音楽に対する自分のイメージを持つことが大切です。
想像力をふくらませる方法
実は想像力を働かせるうえで、”人生の経験”が教えてくれることもあります。
例えば、失恋を表現したいとしても、失恋をしたことのない人が表現するのって難しいですよね。
もちろん想像力の豊かな人であればイメージで踊ることができますが。
イメージで踊れないのであれば、経験するしかありません。
反対に経験のあることであればそのときの気持ちや感情も知っているので、イメージで踊るよりも人間味のある表現になると思います。
このようにダンスで表現をするとはいえ、ダンスの練習以外でもダンスに活かせることは十分にあります。
いろいろな経験をすることは、想像力を働かせたり表現力を高めたりすることに役立ちますよ。
表現するときのコツ
表現力を高める方法を解説してきましたが、いざ表現をする時にもコツがあります。
答えは簡単で、感情にブレーキをかけないことです。
実話:女優「二階堂ふみ」さんの演技力について
ちょっと余談ですが、女優の”二階堂ふみ”さん知っていますか?
ある映画の撮影をするとき、「二階堂さんは撮影現場に入ると、カメラを回す前から涙を流していた」という話を聞いたことがあります。
涙の理由は、役に入りすぎて感情が止まらなかったからだそうです。
彼女の名演技は、ただ演技がうまいだけでなく感情に入り込み表現できるところにあるのかもしれませんね。
参考動画はこちらです。
最終的に心を動かすのは心でしかない
二階堂さんの話ではないですが、やはり人の心を動かすには、自分の心を形にすることが大切です。
日本人は、周りの目を気にしたり自分の考えを殺してしまったりする習慣がありますが、それはよくありません。
ダンスを踊るうえでは自分の心にしたがって音楽を聴き、感じたすべてを出してしまいましょう。
最終的にそれが人の心を動かすダンスになり、「表現力の高いダンスとも言える」と僕は思っています。
まとめ:ダンスの表現力を上げるには心に従うべき
今回の記事では表現力とは何か、表現力を上げるにはどうしたらいいかについて解説しました。
極論、自分の心に従ってありのままにさらけ出すことが1番です。
その日のコンディションや一緒に踊る仲間など、あらゆる条件が自分の心を左右しますが、その心に従ってダンスを楽しむと”より人間味のある踊り”ができると思います。
表現力を上げるテクニックに一生懸命になるのではなく、自分がどうしたいのかをよく見つめ直し、ダンスと向き合っていきましょう。
僕もいち表現者としてこれからも成長していきます。
というわけで、今回はここまでとなります。
それではまた。